夢かけ風鈴は、平成14年。小渡(おど)地区の活性化に立ち上がった青年部の要望を受けた増福寺住職が、宗祖 道元禅師の教え『風鈴の頌』*(ふうりんのしょう)に倣い、全国でも初めての奉納風鈴を受ける寺となりました。境内には各地から訪れた参詣者より奉納された、七千個を超える風鈴が祀られています。

 *『風鈴の頌』・・風鈴を題材とした偈頌(げじゅ:禅宗において悟りの世界を表す漢詩)

 

 若き道元禅師が宋の地において、天童山の如浄和尚(にょじょうおしょう)のもとで修行されておられた際に、如浄和尚から次の詩作(風鈴の頌)を示されました。

 渾身(うんしん)口に似て虚空に掛り、
 東西南北の風を問わず、
 一等、他の為に般若を談ず、
 滴丁東了滴丁東(ていちんとんりやんていちんとん)

 最後の一行は、風によって鳴る風鈴の音をあらわしています。東西南北どのような方向から風を受けても風鈴は変わらずチリンチリンと鳴り響きます。人生に於いてどのような風が吹こうと同じように平常心を保てばいい。道元禅師はこの詩に大いに影響を受けられました。

 夢かけ風鈴には、人生に於いてどんな風が吹こうとも、短冊に書いた夢が叶うようにと願う増福寺住職の想いによって始められました。奉納された風鈴の短冊が風で切れたときに願いが叶うともいわれています。

 風鈴は本堂にて授与(500円)されます。奉納される風鈴は祈願毎に短冊が異なります。

縁結び

家内安全

学業成就

商売繁盛

無病息災

毎年夏には、地域全件で軒先に風鈴を吊るす【風鈴まつり】が行われ、多くの観光客で賑わいます。

風鈴について

 現代では夏の風物詩としてお馴染みの風鈴ですが、元々は邪気除けとして使われたのがはじまりともいわれています。

 古来より人は【音】を、外敵である獣を追い払うことや仲間を呼ぶことに使い。また天災時の音に怯えたりしながら、畏敬の念をもって【音】との関係を保ってきました。八百万の神を貴(たっと)ぶ日本人は、神との対峙に、あるときは呼び出すために。あるときは遠ざけるために【音】を使い分けてきました。

 今でも仏事・神事において、鳴り物を鳴らす事で、この世では無い世界との結びつきに使用するのは古来の名残であるといえます。

 風鈴は、寺院の屋根の四隅に取り付けられている風鐸(ふうたく)が原型であるといわれています。昔は強い風は疫病や災いを運んでくるといわれており、邪気除けのために取り付けられています。 

 風鈴という表記は鎌倉末期に作られた『法然上人行状絵図』に出てきます。

 夏の暑い時期に菌が繁殖し、疫病が流行る時期に魔除けとして多く使われたことから、夏を代表する風物詩として一般化しました。

 江戸時代にはオランダ経由で輸入されたガラスを用いた風鈴も登場し、見た目や音も楽しめるものとして一般に広まっていきました。

夢かけ風鈴